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書評

2017年6月14日更新

まだ見ぬ人工知能に思いを馳せて『人工知能は人間を超えるのか』

人工知能とは?今何ができるのか? いわゆる「人工知能」と言及される技術に関するこれまでの変遷とこれから起こりうる未来を、段階を分けて素人にもわかりやすく説明しているのが本書である。 ここ数年、人工知能がメディアを中心に再

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ペッパーくん

人工知能とは?今何ができるのか?

いわゆる「人工知能」と言及される技術に関するこれまでの変遷とこれから起こりうる未来を、段階を分けて素人にもわかりやすく説明しているのが本書である。

ここ数年、人工知能がメディアを中心に再度も盛り上がりを見せており、今後何十年以内に半分以上の仕事が人工知能に取って代わられるだとか、すでに人口知能は人間よりアタマが良くなっているだとか、様々な噂が飛び交っている。

しかしながら、一言に人工知能といっても何を持って人工知能というのか、実際にどのような働きをするのかをしっかりと理解している人は少ない。

そんな人にはぜひとも読んでもらいたい本である。

私自信も興味はあったが全くこの分野に明るくなかったため、ざっくりとではあるが人工知能について把握することができた。

人工知能における4つのレベル

世の中で人工知能と呼ばれるものは現時点で以下の4つに分けられる。

  • レベル1:単なる制御プログラム
  • レベル2:推論・探求と知識ベース
  • レベル3:機械学習
  • レベル4:ディープラーニング

レベル1は単なるプログラミングによってデータの出入力が制御されているだけのものであり、単なる条件分岐と大きく違わない。

レベル2は将棋や診断のプログラムなど、選択肢を探求していき一定量の情報から推測し結果を導き出すものである。

レベル3は、出入力がデータを元に自らルールや知識を学習するもので、現時点において人工知能と呼ばれるものはほぼこのレベルのものを指す。

レベル4は、3の機会学習をする際の変数(機械学習に用いられるデータの一定の特徴)を人工知能自ら学習していくディープラーニングと呼ばれるものである。

現時点では、人工知能は大量の画像を解析して、それがなにかを判別していく程度のものしかできず、いわゆる「知能」と呼ばれるような感情をコントロールするものはまだ作られていないそうだ。

あなたは人生を通して追求できるテーマを見つけられているか

人工知能に関する大まかな知識と今世界で起こっていることに関する理解を深めることができたのはもちろんだが、あとがきでもっと重要なことが書いてあったように思う。

それは、人生を通して追求できるテーマを見つけること。

これは孫正義の登る山を決めれば人生の半分は決まるというのに似ているのかもしれない。

逆に言えばこれさえ分かれば人生の進むべき道はほぼ決まる。

そのためには日常的に常になぜを問うこと。その積み重ねが真理の探求につながり、ひいては人生のテーマを見つけることにつながると信じている。

著者の松尾豊准教授は大学のときに人工知能に魅力に気づき、それ以来ずっと人工知能の研究を続けてきた。最後に本書の最後の文章を引用しておこう。

こうした謎に、自分はいつかたどり着くことができるのだろうか。いつか、本書の続きを書くことのできる日がくるのだろうか。そうなることを願っているし、そうなるためにきっと努力を続けるのだろう。

まだ見ぬ人工知能に思いを馳せて。

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